『リプハーゲン: オランダ史上最悪の戦犯』
原題 Riphagen.
製作年2016年。上映時間131分。
第二次世界大戦中、隠れてユダヤ人を恐喝し、数百人もの殺害に協力したアンドリス・リプハーゲン。
通称SDと呼ばれる親衛隊保安部に所属したアンドリス・リプハーゲン。
オランダ史上に汚名を残した男の戦争犯罪を描く。
第二次世界大戦は、今年2022年で戦後77年。
そないな時間を経てもなお、映画にとって豊かなインスピレーションの源であり続けている。
ナチスの時代が浮き彫りにした善と悪の明確なモラルの線は、ポストモダンの映画製作者がそれを曖昧にする余地をほとんど与えない。
しかし、見事な脚本と卓越した演出によって、この線はどこまでも伸び、誰が誰で、誰が善悪なのか、観る者に分からなくさせるサスペンスに仕上がっている作品は沢山あるし、今作品もそないな秀作の一つだと個人的に思います。
史実に基づき、サスペンスとミステリーを融合させた今作品。
オランダのアル・カポネなんて呼ばれたアンドリース・リプハーゲンは、オランダの裏社会の有力者であり、私利私欲のためにドイツ占領軍に協力した。
戦後までユダヤ人の資産を守るために 手助けしよる彼の巧みな話術に騙されるのは、よほど騙されやすい人たちだけだやろうに。
しかし、リプハーゲンがどないして人々を騙し、どのような状況になるかは、最後の瞬間まで不明確である。
このため、映画は最後の最後までサスペンスフルな展開が続きました。
ラスト1/3でストーリーがスローダウンしたように見えるけど、騙されてはいけない。
テンポに問題がないわけではないが、今作品は大きな成果を上げていると思います。
とんでもなく少ない予算にもかかわらず、見事に完成されていました。
映画全体が1940年代の息吹に満ちているし、リップハーゲン役のイェルーン・ファン・コニングスブルージュをはじめ、必要不可欠な脇役の俳優たちの演技は見事でした。
カメラワーク、照明、編集は現代の芸術的流行に屈することなく、鮮明かつ効果的でもあったし、リチャード・ゴンラーグのオランダ語(ドイツ秘密警察SDの地方課長ウィリー・ラーゲス役)は非常に良いが、彼のオランダ語訛りは紛れもない事実やとオランダ語が堪能な友達がいってた。
良くできた作品でした。