モモモ

ムーランのモモモのレビュー・感想・評価

ムーラン(2020年製作の映画)
3.4
公開前の主演女優の香港民主化デモに対しての発言、コロナ禍で延期を繰り返した上での劇場公開中止配信直行、公開後のウイグル問題発覚と余りにもケチが付きすぎたムーラン実写版。
そんな諸々を抜きに純粋に「一個のエンタメ作品」として観てもこれはダメじゃないですかね。
オリジナル版を観たのが昨日の今日ですから「ムーラン」という作品に対しての思い入れとかは別段深くは無いですが、あんなに面白いオリジナルアニメ版をこんなギリギリ凡作以下にされてしまったらたまったもんじゃないですよ。
いや、観れたもんじゃ無い破綻した映画とかではないんですが。そこは流石にディズニーの巨大資本映画と言うか。
テーマ性がオリジナル版よりも後退しているのが1番残念なポイントですね。
「女でも男でもなく自分らしく生きよう」という行動と信念の結果が国を救うアニメ版。
「国(皇帝を救う)の為に行動する姿こそ美徳。家族を大切にする姿勢こそ美徳」と謳う実写版。
中国の国作映画か何かでしょうか…撮影中に脚本を改稿し過ぎたか、再撮影で色々横槍を入れたか、そういった結果の産物じゃなかったらコレは大事故ですよ。
龍を不死鳥に変えたのも「ゲースロで観たことあるそれー!」な翼の演出をしたかったからにしか思えず必然性を感じない。
たった一曲の歌で戦友達との絆やムーランの成長と思慮深さを描いたアニメ版に比べてキャラクター描写も物語展開も薄らとし過ぎていて情緒的に全くなる事ができない。
アメコミ実写版1作目的手法の「主人公と鏡映しになるヴィラン」の改変追加要素はいいのに、それを活かす事なくフワフワと着地してしまう。
所々ジェームズ・ワン的な面白カメラワークを挟む物のアクションもキレがなくドニーさんが出てる映画とは到底思えない。
ドニーさんが出ているのだから劇場公開していたら観に行ってはいただろうが、これは自宅で観て良かった作品かもしれない。映画館に金を払って観に行って不機嫌になりたくはないですしね。
モモモ

モモモ