陣内栄

愛を歌う花の陣内栄のレビュー・感想・評価

愛を歌う花(2016年製作の映画)
3.8
女の嫉妬は怖いが、女を道具にのし上がろうとする男の執着も怖い。そして、韓国の女は強く美しく嫉妬深い。

美しい歌声を持つ2人の妓生を主役に、1人の作曲家の歌をめぐりそれぞれの運命が狂い始めるという話。ストーリー的には韓国映画によくある嫉妬が生み出す狂気ロマンス。ただ、この作品の魅力は2人の女性がそれぞれに自分の歌声という武器を使って成功したいという野望を持っているところにある。作曲家の男を自分のものにすることよりも、重要なのは彼が作った曲を歌うことにあった。美しく清純なヒロインが嫉妬と欲望にかられるヒロイン像へ変化していく姿が面白かった。

結果的にはヒロインの闇堕ちとなりすごく斬新な後味を残す。2人が「春のお嬢さん」を笑顔でデュエットする最後の幸福シーンは、とても可愛いのに終わってみるととても切なく感じる。
陣内栄

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