鰹よろし

不能犯の鰹よろしのレビュー・感想・評価

不能犯(2018年製作の映画)
2.7
 事件としては仲介者に位置付けられるのだが、松坂桃李演じる宇相吹正の死へと向かわせる現象(マイナス感情)を思い込ませることで対象を死に至らしめる能力を起点に、依頼人が自分に都合の良い(もしくは悪い)思い込みによってひたすらなるマイナス感情を勝手に募らせ殺人衝動へと至った過程を結びつける。

 この宇相吹による殺人の代行から見えてくる殺し損(というと聞こえが悪いんだけど)という後悔を際立たせることで、単なる早とちりに都合の良い(悪い)一方的な思い込み、ほんの些細な人と人とのすれ違いや縺れが…とする原因を浮かび上がらせ、何かが掛け違えていたらとする希望をも見出すことに繋げるのはうまい。

 ただ…この一寸の希望というところを沢尻エリカの精神的支柱に結びつけてくれていたら、劇場を出て目の前に広がる世界がもう少し明るくなった気がする。
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