レインウォッチャー

スクリーム3のレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

スクリーム3(2000年製作の映画)
3.5
三部作の完結編。
…といえば、「出発点に戻り、どんでん返しがある」「過去の出来事が災いをもたらす」ということで、このシリーズらしいメタ解説を挟みつつ、まさにそれに沿うような展開へ。

一作目から仄めかされていた、主人公シドニー(N・キャンベル)の母に関する事件の真相へと立ち戻ることになる一行。正直なところ、それそんなに気になりましたっけ?みたいな取ってつけた感はあるのだけれど、それもまた《あるある》の範疇だろうか。

満を持してというべきか、今作は映画制作現場編でもあって、シドニーたちは自分たちを題材にした映画で自分たちを演じる役者と行動を共にすることになる。そして今作の犯人もまた、ボイスチェンジャー等を使って他人に成りすまし、ターゲットを罠にハメたりする。

このあたりには「演じる」という共通点がうっすら見えてくるところだ。このシリーズを通した連続殺人が、誰かによって執り仕切られた茶番である、というイメージへと繋がっていく。

犯人は自身の身分を隠しつつ、《ゴーストフェイス》という殺人鬼もまた演じつつ、さらにそれを映画として観ているわたしたち…この何重もの入れ子構造が心地よい。犯人の正体も、強引なところは否めないながら、確かにこのシリーズのラスボスとしては相応しいかも、という納得感はあると思う。

また、今作には某・銀河共和国の姫がカメオ出演して華を添えていたりする。三部作映画ときけば誰もが思いつくであろうレジェンドシリーズのアイコンが来てくれるとは、メタ映画としてはこれ以上ない手向けではなかったろうか。

今作にて、いったん旧三部作は完結。次作までは10年強の時を隔てることになる。
今作の完成までには色々とバタバタもあったようだけれど、ラストシーンはなかなか小粋で、少しばかりグッとくるものがある。最後まで映画ファンのために開かれていたシリーズだったな、と思わせてくれるのだ。