七沖

亜人の七沖のレビュー・感想・評価

亜人(2017年製作の映画)
3.9
人物描写の掘り下げが不足している気がするが、邦画最高峰のアクションが楽しめる作品だった。

原作未読でノーマークだったが、予告が面白そうだったのと、「るろうに剣心」ぶりに佐藤健のアクションが観れることに期待して鑑賞した。
結果、劇場で観て大正解だった。
よくぞここまで…!と思えるアクションの連続で、洋画アクションと比べても全く遜色ない出来だ。亜人の特性を活かした立ち回りは見応えがある。
亜人が出すことができる幽霊の仕組みは説明がなくてよく分からなかったが、CGの出来はかなり良く、スピード感のあるアクションが強調されていて良かった。

キャラクターとしては、綾野剛演じる佐藤が一番印象に残っている。マンガ原作らしく芝居がかったリアリティのない言動が気になるのだが、それが逆に人間離れした亜人の凄みに転化されていて、近年見た悪役の中でも飛び抜けて良いキャラだと思う。「やあ、来ちゃった」はこの作品の中で最も驚き、笑えるシーンだった。
川栄李奈が演じた護衛役も良かった。最初はパンツスーツ姿はもっと長身の役者じゃないと似合わないのでは?と思ったが、バトルシーンの機敏なアクションを観ているうちに気にならなくなった。階段を転がりながら相手に飛びかかるアクションが凄い。

反面、主人公の永井の行動に所々「?」と思うシーンが多く、感情移入出来なかった。出会って間も無い佐藤に発砲するのは、死ぬ苦しみを知っている永井にしては過激な行動だし、終盤の作戦指揮を永井が執っていたことにも違和感があった。幽霊をいつの間にか使いこなしていたり、明らかに医大生とは思えない運動能力など、説得力が無い展開が主人公に集中していたのは残念だった。

アクションは現時点で邦画最高峰だと思うので、ぜひ続編を作ってキャラクター背景も掘り下げて欲しい。
七沖

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