間々田陽紀

gifted/ギフテッドの間々田陽紀のネタバレレビュー・内容・結末

gifted/ギフテッド(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

※恐らく《人間は自分のためでなく周囲のためと動いたとしても、知らず知らずのうちに周囲との間で不協和音が発生して振り回されることがあります。その時に最終的には本人が自分のことを考えて決めるということしかない》という真理?みたいなものを、この映画の監督は表現したかったのではないでしょうか?

※主人公の7歳のメアリー、叔父のフランク、近所の世話好きなロバータ、メアリーの担任の先生のボニーこれの登場人物たちは、みんな相手のことを揺れ動きます。その中でメアリーの祖母イブリンだけが最後まで自分のことだけを考える?人物として描かれています。そのイブリンの身勝手さを表すのに、自殺したメアリーの母親を写真でしか登場させなかったのが、監督の配慮?(そこまで悪い人間として描かない)のように思われました。

※メアリーがじ実の父親が自分のことを可愛がらないことに傷ついている時に、フランクがメアリーを産婦人科病院に連れて行き人間が誕生するときの感動を教える。この演出には思わず、なるほどと感心させられました。このようなメアリーに自分の想いを伝えるやり方は、やはりフランクが大学で哲学を教えていた経歴が影響しているのでしょう。

※自殺したメアリーの母親が死に望んでも自分の母親(メアリーの祖母)のことを信じていなかったところに、人間はその人がやりたいと考えることを強制的に止めることが《どれほど深く人を傷つけることになるか》ということを表現していましたね。

※それにしてもメアリーの母親が高度な数学理論を完成させていたのに、その事実をメアリーが普通の女の子として生きていけることを見届けない限り自分を押さえ込んできた母親に知らせないようにフランクに依頼していたこと。そしてそのことを知ったときのメアリーの祖母イブリンが、もうその理論を手に入れたことに気がそがれメアリーの今後に興味が薄れていたところが怖さを感じましたね。
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