このレビューはネタバレを含みます
満点。
いや涙枯れるて。
ギフテッドの生きづらさ、研究者の苦悩、子は親にとって何であるか、人類に資する能力の持ち主は人類のために生きるべきなのか、ライフワークを成し遂げ(てしまっ)たときに生じうる喪失感……etc.
あまりに高度なテーマをよくもまぁここまで見事に仕上げたよなぁ。脚本家の人間理解が深すぎる。
フランクが哲学の元准教授であることを明らかにする仕方がうますぎる。それまでの彼の台詞に一挙に説明がつく。
最後のダイアンの論文の使い方も鳥肌もの。この件によって、ダイアンの母に対する思いが明らかになるだけではない。
フランクは、ダイアンがその生涯を捧げたもの(論文)を使って、彼女にとってはそれ以上に大事な存在(メアリー)を救い出す。これは同時にフランクにとっての罪滅ぼしでもある。
さらに、自らの母がミレニアム懸賞問題を解決したという事実が、同じく稀代の数学的素質を持つメアリーに与える影響の重大さは想像に難くない。
夕日を背景にしたあのシーンが大好き。
メアリーがこれから経験するであろう、凡人には想像すら及ばない苦悩の数々を思うと、胸が苦しくなる。
フランク、もう二度とメアリーから離れるなよ。