このレビューはネタバレを含みます
No.4157
いろいろ考えさせられるね。
天才的な才能を発揮できるのも、生きてるからこそ、なのにね。それすらわからない人がいるなんて、恐ろしすぎる・・・。
自分の娘が自殺を図っても「ささいなこと」と言ってのける祖母のイブリンは、もう毒親とか、そういうレベルじゃない。狂ってる。
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まず脚本が抜群にうまい。
ヒューマンドラマでありつつ、一級のサスペンスにもなっている。
クリス・エヴァンスの好演が光る。
マーク・ウェブは「gifted」な人間のドラマとその周辺を描くのが本当にうまい。
本作のメアリーは「先天的なgifted」だが、
『アメイジング・スパイダーマン』で描いたピーター・パーカーは「後天的なgifted」だった。
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そして、自ら望んだわけでもないgiftに翻弄されてしまうメアリーが、
最終的に「片目を失っていて、決して身体的にはgiftedではないが、普通に幸せな暮らしをしている猫のフレッド」の所に戻っていく、というのが本当に素晴らしい着地点。
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「才能が充溢しすぎている」メアリーの周辺は、逆になにかが「欠落」している人間ばかり。
そもそもメアリーには母がいない。
父はいるにはいるが、メアリーに一度も会ったことない癖に、イブリンに頼まれてのこのこ法廷に出てくる、これもヤバい欠落者。
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そんなメアリーが、
「片目を欠落していても、幸せそうな猫のフレッドのいる世界」と、
「五体満足ではあっても何かが根本的に欠落している祖母のいる世界」
のどちらへ戻っていくのか、最後までハラハラさせられ、ラストは静かな感動を呼ぶ。