青二歳

ニンジン達の夜の青二歳のレビュー・感想・評価

ニンジン達の夜(1998年製作の映画)
4.0
いよいよ分からん。エストニアからプリート・パルンの不条理アニメーション。こんな可愛くないウサギのキャラクター化は初めて観た。
ナレーションがなんか違和感…まぁあっても無くても訳がわからないことは変わらないんでしょうが…イマジネーションの縦横無尽さは相変わらずなんだけど、ストーリーがあるかのような運びのせいで余計に疲れてしまった。
…たぶんこのウサギたちの発見した数字やにんじんは何かのシステムを象徴してるんだろうが、ブードゥー教というか日本でいう藁人形のようにニンジンに針を指して飛行機をリモートコントロールできるらしい。その計画の頓挫も凄まじい衝撃だったが、子供のいたずらのようなことでシステムダウン(?)してしまう描写でまたも「えぇ嘘でしょ…」と脱力して崩れ落ちた。パルンのアニメーションは次の展開がまるで読めないのだけれど、10分ほどならまだ映像体験として楽しめる。しかしストーリーがありそうな(多分あっても無くても変わらないが)30分くらいの短編だと、つい自分の頭の中に「展開を読む癖」が出てきてしまい、とてつもなく消耗する。ふつう映像を見るときは誰でも展開をある程度読んでしまうもの。それを意地悪く裏切られるのですごく疲れるのです…
ディエゴが主人公なのかな?と思いきやあまり関わらないし。ウサギたちのシステムが何を象徴しているかは分からないし、登場人物たちは各々没交渉だし…
ただ、このウサギたちの電子的(?)遠隔操作システムを、例えば何かのプログラムを悪意をもってハッキングされたものとして単純にとらえて良いなら、登場人物たちが没交渉というのはリアリティがある。ウサギたちのように血走った狂気の計画が進行しても頓挫しても、そのシステムは市井の人間には分からないし一見無関係だろうから。まぁ何かもっと深い意味があるのかもしれないし、もはや意味なぞ無いのかもしれないし…分かりませんけれども。
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