Tラモーン

荊棘の秘密のTラモーンのレビュー・感想・評価

荊棘の秘密(2016年製作の映画)
4.1
やっぱり韓国サスペンスは裏切らない…。


国会議員選挙に立候補中の元アナウンサーで新進気鋭のキム・ジョンチャン(キム・ジュヒョク)の娘ミンジン(シン・ジフン)が投票日を半月先に控えた選挙活動初日に失踪する。娘の身を案じるジョンチャンの妻ヨノン(ソン・イェジン)に対し、夫や周囲の人間たちは選挙ばかりを優先し、単なる娘の素行不良だとしてまともに取り合わない。ヨノンはわずかな手掛かりを元に1人娘の行方を追う。


これは完全にフィルマの評価低過ぎ問題でしょ。たしかにこの救いの無さは気持ちのいいものでは無いし、繰り返し観たい作品かと問われれば否なんだけど、本当に最後の最後までストーリーが二転三転するしオチのゾッとする感覚はマジで絶望的。
サスペンスとしてはめちゃくちゃ一級品の脚本だと思う。

夫の選挙敵、娘の友人、娘の学校の先生、夫の部下など疑わしい人物が次々出てきて、しかも親の知らなかった娘の真実がなかなかの強烈さで、しかも夫は選挙中と、どんどん狂気じみてくるソン・イェジンの演技が圧倒的。

"私たちの娘は私たちが思うほどいい子じゃなかったのかも"

誰もが娘の安否よりも選挙を気にかけている狂った状況の中で、怒りのあまり自らの手にハサミを突き立てるシーンが怖過ぎる。

あ〜、色々書きたいけどネタバレ厳禁過ぎて全然書けない…。

最悪の事態からの最悪の連鎖は胸糞が悪いという言葉では片付けられないほど。
「反吐も出ぬほどの絶望の彼方」というポスターの煽り文句が完全にそのまま。パク・チャヌクが脚本を手掛けているだけあってラストの復讐劇も深い絶望を感じるし、最後の最後でそこに親子愛を絡めてくるのがズルい。

"ママはまぬけだって。だから私が守らなきゃ"


誰が本当に悪かったのかってところも本当にスッキリしなくて、ある人物が中盤で発する台詞が完全にラストシーンでブーメランになっているんだけど、その人も事実を知っていたらこんなことにはならなかったのに…って思うと、人間の欲と怒りと悲しみの連鎖が生んだ完璧な絶望としか言いようがない。

韓国映画らしくめちゃくちゃフィジカルにつくられてるんだけど、構成としては『search/サーチ』に良く似ていて、もしかしたらこの作品が影響してるのかもなと思った。

娘の友人のミオクを演じたキム・ソヒの演技が凄かったよ。なんだよあの目付き。

ソン・イェジンはもちろんなんだけど、学校の先生役のチェ・ユファ(甲斐よしひろの娘のkainatsuに似てない??)もめちゃくちゃ美人で眼福だったな〜。2人とも全然笑わないけど。

"せいぜい頑張って生きることね"

人間て怖い。
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