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散歩する侵略者のKのレビュー・感想・評価

散歩する侵略者(2017年製作の映画)
3.9
黒沢清監督作品は数本しか見たことがない。『CURE キュア』の印象が強かったので、最初の数分は“それっぽい”と感じさせられた。それ以降は“意外”が続く。概念を奪うという斬新な設定。どこまで既知でどこから未知か。曖昧と感じる部分は少なくない。解放。奪われた人を見ていると、ものすごく深いメッセージ性があるように思えてくる。暗転。不穏なジャンプカット。アクションパート。通信機。「人類なめんなよ」。長谷川劇場。夕焼け。宣言がなかった事と、どちらにも取れる反応の影響で判別がつかなかった部分。そこが明らかになった瞬間“いいじゃん…!”の感情が押し寄せた。あまりに単純で、単純すぎるがゆえに皮肉が効いている。欠けているもの。物語を通して見つめ直す概念。良い役者さんが勢揃いの本作。中でも加瀬夫婦を演じる松田龍平さんと長澤まさみさんが良い。変であると同時に何かとてつもない熱量を感じる作品にどうやら弱い。舞台劇の映画化は合わないものが多かったけれど、本作は融合を感じ取れる部分があり良かった。
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