猫脳髄

散歩する侵略者の猫脳髄のレビュー・感想・評価

散歩する侵略者(2017年製作の映画)
3.6
イラストレーターの鳴海(長澤まさみ)は喧嘩別れした夫の真治(松田龍平)がまったく記憶を失って保護され、仕方なく自宅に引き取るが、まったく人格が変わってしまった真治は「散歩」を繰り返しては行方不明になり、鳴海は困り果てる。一方、一家バラバラ殺人事件を取材していたライターの桜井(長谷川博己)は、事件の生き残りに会いたいとする不遜な少年、天野と出会う。自分は「宇宙人」でしかも「侵略者」だと称する天野に戸惑う桜井だったが、次第に状況に飲み込まれていく。鳴海と真治、そして桜井たちが交わるとき、人類に未曾有の危機が迫っていた…

原作者は異なるものの、筒井康隆風の奇妙な味のSFだが、随所に監督好みのモチーフが散りばめられ、異常事態が淡々と進行するという黒沢清の作品として仕上がっている。一方で、黒沢作品に毎回感じる矛盾や説明できない部分がやはりここでも目立つ。さらに独特の間合いが弛緩に感じるところもあり気になってしまう。
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