のぶぃ

散歩する侵略者ののぶぃのネタバレレビュー・内容・結末

散歩する侵略者(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

黒沢清監督のファンで7割方の作品は観ているしトークショーにも何回か足を運んだことがある。
黒沢映画のエッセンスはおおいに残しつつキャッチーで笑える『CURE』といった趣き。
『回路』や『カリスマ』のようなこの先どうなるのかわからないワクワクするような終末感もあれば女子高生のアクションシーンもある。
個人的にはこの監督に愛なんて描かせたらやっぱり泣いてしまう。
『岸辺の旅』でも思ったが。

役者さんが皆良かった。
松田龍平の何を考えてるかわからない感じは本当に宇宙人みたいで可愛いし長澤まさみにあんな風に迫られたら堪らん。走る時に胸揺れてるし。
相変わらず魅力的に撮りますね。

リアルタイムで観られずに2020年3月にミニシアターで観たが新型コロナウイルスが世界中で大流行中の時にウイルスの話や不倫で話題の東出昌大が出てきて驚いてしまった。
東出君が愛について話すシーンはシュールで笑える。

よくわからないジャンプカットがあったりするし色んな映画のオマージュらしきシーンが散見される。
確かに自分と他人ってなんだろうとか深く考えれば難しいけれど、物語はわかりやすいので黒沢清作品を観たことがない人にいいのではないか。
と言ってもやっぱり変な映画なのだろうけれど。
SFだけど夫婦の再生を描いた映画。
世界の崩壊というスケールの大きな話と宇宙人との奇妙な友情、夫婦愛という最小限の関係性。
マクロとミクロ。
概念という言葉が出てくるがそもそも人の頭の中が宇宙そのものではないか。
そんなものを奪うなんてとんでもない侵略者だ。
いつも良い映画を観た後思うが鑑賞後、松田龍平の台詞と同じく世界が全部違って見えた。
のぶぃ

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