あらゆる(…といっても割と偏っているんだけど)知識が豊富であるにも関わらずいやそれ故に現実主義で人と接することが苦手な主人公。他人に共感する、相手の感情を理解する事が不得手でそれ故に見せる一方的に暴走する親切から始まるひたすらなる目的地への遠回り。
現実主義故合理主義故すぐ目の前に存在するだろう答えに飛びつこうとするあまりの結果であるわけだが、これを単に無駄と言ってしまえばそれまでで・・・
答えに直結するだろう手段や方法はいくらでもあっただろうが、この感覚や認識としてのズレがあったからこそ見えてきたものがあったはず。
そうやって生まれた人間ドラマ、主人公の変化が見どころなんだけど・・・
それよりも彼女の周りの人間たち(上司に同僚に)の図書館というところ、本というモノへの想い(姿勢)をはっきりと示したのが何より好感だった。誰かにとってはたかが一冊の本でも、また他の誰かにとってはされど一冊の本であると。
「海すずめ」(2016)で不満たらたら書いたが、この作品はそういった主義主張意思表示をはっきりと描いていたのが本当にすばらしかった。
ただ…小芝風花を白で汚そうとする邪な感情を感じとったのだがこれは誰かさんの下心が漏れちゃったの? 少し気になった。