YukiHomma

最後の家族のYukiHommaのレビュー・感想・評価

最後の家族(2016年製作の映画)
4.5
“3回見たら死ぬ絵”でお馴染みのポーランド画家、ズジスワフ・ベクシンスキーの伝記映画。お絵描きAIの「Midjourney」が生成しそうな絵を描く画家である。
個人的に好きな画家トップ10に入るぐらいには好きな画家なので彼の人生はなんとなく知ってたし悲しい結末にしかならない事は分かってたけども、そういうの関係なく映画として激オモロだった。
情緒不安定で自殺癖のある息子のトマシュに両親がただただ振り回される。時間を大胆に飛ばしながらその生活の決定的瞬間を覗き見るような映画。トマシュを演じたダヴィド・オグロドニクの存在感がひたすら強烈。
想像ではズジスワフ・ベクシンスキーの内面だったりインスピレーションにフォーカスするものだと思ってたんだけども、いざ見てみれば一歩引いた目線から見た家族ドラマだったので個人的に嬉しい想定外だった。よくよく考えれば映画のタイトル自体もそうだし作品にタイトルも付けない、テーマを語ることもしない人だったということもあり確かにそこに踏み入るのは粋ではないか。
常に見ててしんどいのは間違いないんだけど途中途中挟まれる家族の会話がめちゃ面白くて助かる。トマシュが音楽に浸っている瞬間に出る根の優しさにちょっとウルっと来る。
“死”というものに取り憑かれた感受性が高すぎた父子の物語。
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