打ち上げ花火、下から見るか？横から見るか？のabx155のネタバレレビュー・内容・結末

試写会にて鑑賞。
原作及び岩井俊二監督に対する事前知識が相当あるという自信のある人のみが楽しめる作品。
少なくとも1993年の岩井俊二監督のドラマ、1999年のメイキング「少年たちは花火を横から見たかった」、そしてこのアニメ版のノベライズを読んでおかないと何のことやらさっぱりわからないだろう。
ナズナが母親に連れ戻されるまではドラマ版とカットに至るまでほぼ同じだし、ドラマと違って鉄道に乗って旅するのは岩井監督のこの物語の着想元である「銀河鉄道の夜」に寄せたものだし、松田聖子の歌は岩井俊二監督作「Love Letter」へのリスペクトと思われるし、ラスト近くで出てくるトンネルはドラマ版の脚本で本来ラストシーンとなるはずだった場所だし、出席を取っているラストはメイキングで描かれたドラマ版でボツになったシーンだし、数え上げるときりが無い。
こうした説明がなくても分かるように作るのがプロの仕事であり、それが出来なかったのは失敗作と言わざるをえない。
しかし、分かる人にとっては原作を遥かに超えるビジュアルで作品世界を広げてくれたことに感謝する作品になっているはず。