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ぼくの名前はズッキーニのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

ぼくの名前はズッキーニ(2016年製作の映画)
3.7
【ハードなストップモーションアニメ】
アカデミー賞長編アニメ部門ノミネートのスイスアニメを東京アニメアワードフェスティバル2017で観てきた。

日本公開は正直厳しいがそれでも、
本作は一見の価値ある作品だ。

母親から虐待されている、
ズッキーニ(Courgette)は、自分のミスで母親を殺してしまう。
警察に保護された彼は、児童保護施設に入れられるという鬱内容。
しかし、凄惨な境遇を60分通してじっくり乗り越えていく過程は、「映画 聲の形」にないものがある。

施設に入れられた児童たちは強烈なトラウマを抱え、他人を受け入れることは容易ではない。その反動で、食事中にフォークで机を叩く者、いじめを働く者が現れる。
特に私が注目するのはいじめっ子。
私が小学生の時に同じクラスにいた母子家庭のいじめっ子と仕草が似ているのだ。
根は優しい、真面目。しかし、愛に飢えるあまり周りに当たってしまう。接し方が分からないから。自分の弱みを見せないよう上に立とうとする姿が生々しい。
そして、強さの片隅に見せる哀しみ。
この繊細さは、感情全力全開フルドライブな日本のアニメではできない緻密さと言えよう。

ハードで辛すぎる。その悲愴を全面に背負ったお世辞にも可愛いとは言えない造形だが、ストップモーションアニメだからこそ浮き彫りにされる、どん底から立ち上がる子ども達に魂揺さぶられる作品だった。

イメージフォーラムあたりで、公開しないかなー
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