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ぼくの名前はズッキーニのmのレビュー・感想・評価

ぼくの名前はズッキーニ(2016年製作の映画)
3.7
2017年アカデミー賞長編アニメーション部門ノミネート作品。この時受賞した『ズートピア』が大好きなので、同時にノミネートされたこの作品がとても気になっていた。やっと鑑賞。

あまり事前知識がない状態で鑑賞し、想像以上に重いテーマの作品であることに驚いた。児童養護施設を支援する活動をしている知人から聞いた話などを思い出しながら鑑賞。

どこまでも子どもの視点で描かれているところが面白く、同時に辛い。微笑ましさもあるけれど、どちらかというと痛ましさ、危なっかしさの方が印象に残っているかもしれない。つい大人目線で見てしまうからだと思う。それでも希望があり、子どもたちの幸せを願わずにはいられなくなる温かい作品だった。同時に大人としての責任についても考えさせられる。
ただ突っ込みどころも少しある……初恋の相手(?)と最後あの状態になるって、大丈夫なのか……?

鑑賞しながら、なぜストップモーションアニメで表現したのだろう?と考えていた。おそらく、この朗らかさはアニメだからこそ成立する。これをもし実写で表現したら、もっと重々しい雰囲気の、見ていて辛い作品になったはずだ。アニメという手法で現実味をなくしたことで重苦しさが消え、子どもならではの視点が生きているように思える。しかしストップモーションという少々不気味な印象を残す手法を用い、決してきれいには描かない。
「アニメだからこそ暗いストーリーが描ける」というのが新鮮な発見だった。いつもアニメはディズニーばかり見てしまうので気が付いていなかった。これを念頭に置きながら他のアニメ作品も見てみると面白いかもしれない。

この作品に登場する子どもたちはまだ思春期に差し掛かるか否かくらいの歳。きっとこれから大人になっていくにつれ色々なことを知り、考えなければならないのだと思う。そんな彼らの未来が明るいものであることを願ってやまない。同時に、世界中にこの子たちのような子どもが大勢いることにも思いを馳せたい。
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