チーズマン

夜は短し歩けよ乙女のチーズマンのレビュー・感想・評価

夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)
4.0
いのち短し恋せよ人間。

ほとんどそんな不思議な一晩の物語を描いた、素敵にぶっ飛んだ恋愛映画でした。

監督は『マインドゲーム』が超強烈だった湯浅政明。
なにげに長編映画は13年ぶりなんですね。

原作は読んだことないけど、湯浅政明監督とこの題材の相性は抜群でした。

言葉遊びの妙と、あの独特なアニメ表現がとにかく“気持ちいい”映画でした。上手くハマった人にはきっと中毒性があるはず、早くもまた観たくなってるもの。
その“気持ちいい”にはもちろん作品のテンポも含まれてて、「先輩」が登場した瞬間からのテンポの早さに一気に掴まれた。
この男はいったい何をバカな事を次々と言ってくるんだ、と。笑

観る前は勘違いしていたけど明確に主役は黒髪の乙女でしたね。そのまだ「恋ッテナンデスカ?」状態の黒髪の乙女が恋の病にかかるまでを、又は「先輩」と運命の2人であるという事柄をもはや逆に丁寧とすら言えるほどひたすらぶっ飛んだ描写と共に積み重ねられると、もう御都合主義を越えた次元の感覚になってきます。
それに絡めて飲屋街、公園、学園、いたるところでのシュールな躍動感で描かれる様々な恋わずらいが楽しい。
しかし、まさか空から「恋」を降らすとはね!
そういった、どうかしてるほど大げさな描き方が、ある意味影の主役である“酒”を飲んで酔った感じのリアルとの境目が曖昧になった作品の世界観とシンクロしてすごく楽しかったです。

しけしミュージカルシーンもなんかやばくて最高だったな〜、「パンツ総番長」の声がロバート秋山だと後で知ったけど見事なハマりっぷりで驚きました。

しかし、観終わるとこちらまで飲みに繰り出したくなってくるから困る。笑
しかし実際に周りの情景があんな狂ったように見えだすまで酔って町を歩けば現実ではロクなことにはならないので、そんな時はこの映画ですね。

とりあえず観終わってすぐ原作を買いました。
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