せきとば

メアリと魔女の花のせきとばのレビュー・感想・評価

メアリと魔女の花(2017年製作の映画)
2.5
なんもかんも記号や定型構文に頼りきっていてオリジナリティがない。だから、何故?の部分が徹頭徹尾抜け落ちている。

ジブリとは全く逆の精神で作られているのにジブリの記号を沢山使うのは謎。巣立ちたいのか継ぎたいのかどっちなんだ。

どっちも、なのであれば真似する部分はそこで良いのか。オリジナルがその程度で良いのか。マダムマンブルチュークが最初に出てきた時、実体と分けるために声にコーラスをかける。そんな使い古されたチープで陳腐な発想で良いのか。何故その音になるのか本当に考え抜いたのか。

絵は流石のクオリティでファンタジックな光のつくりかたは本当に綺麗。でもやっぱりそこに空気がない(文字通り本当に大気の描写がない)のでペラペラに見えてしまう。

マーニーはジブリとは言えまさに”彼ら”の作品として良いバランス感だったと思うし、現代的なテーマを扱う向きもあった。

宮崎さん、高畑さん、鈴木さんはじめジブリのトップたちがどう思ってたのかはしらないけど、葛藤や過ちについて、何故そうしてしまうのか、考えられていたから面白かったし、ずっしりくるものがあった。変に彼らに寄り添っていては新しいものは生まれないはず。変にジブリを気負ってしまってる状況には同情するけど……

マーニーの静に対して動のメアリはとにかく取捨選択を誤ったように思える。話を動かすのは脚本や演出ではなく登場人物や出来事そのものであるべき。

”子どもにもわかるように”というテーマがあったとしても、本来それらを両立出来る能力はあると思うし、だからこそ残念に思いつつ公開中の新作に期待を込めておく。
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