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犬ヶ島のデヒのネタバレレビュー・内容・結末

犬ヶ島(2018年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

日本文化に対するウェス·アンダーソンならではの解釈および愛情が盛り込まれた映画。
プロローグ、小林市長とアタリの関係を日本説話になぞらえて表現したのが印象的だった。小林市長によって統制されているメガ崎市。ウィルスに感染する危険性があるという理由で犬たちは見下されている。犬たちを遠く離れた島に放逐させる市場。市長の養子アタリは、自分の犬スパッツを探して島に行き、物語は始まる。

映画の最も大きなメッセージは、自分の便宜だけを考え、必要がなくなると冷たく捨ててしまう、違いのある対象に対して相互作用ではなく排斥する人間の振る舞いを見せると同時にそれに対する反省ではないかと思う。
映画は小林市長によって、犬が悪いと扇動されてきた市民を啓蒙させるためのアタリによる啓蒙運動のように見える。その過程では、交換留学生のトレイシーも大きな役割を果たした。映画の主人公はアタリでストーリーは進行するが、トレイシー役が興味深かった。オハイオ州出身の交換留学生である彼女の勇気ある言葉によってメガ崎市内の愛犬家の勢力が活動するようになる。映画を見ればあっという間に過ぎ去ったが、火山爆発の場面では旭日旗を連想させるイメージがあり、ゴミの島は軍艦島を連想させる。そして自分の野心に満ちあふれて市民を扇動する小林市長の姿からは帝国主義時代の日本の姿が重ねられて見える。ウェス·アンダーソン監督はトレイシーとアタリを通じて隠然と批判している。そして、短い場面ではあるが、新しい変化を避けようとするアナログ的な姿を批判する場面も見られたが、すべての枠を破って新しい変化を迎える最後は本当に痛快だった。アタリの最後の演説が記憶に残る。
「 何故ゆえに 人類の共 春に散る花 」

ストップモーション・アニメーション特有の感じが良かった。映像美が美しい。犬たちの会話の中のユーモアも良かった。何より音楽の使い方が好きだ。すごく映画館で観たい作品。

池田エライザが参加したと聞いて期待していたのに、二言だけ。 www
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