011everyday

犬ヶ島の011everydayのネタバレレビュー・内容・結末

犬ヶ島(2018年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

カタカナでリスペクト。

小林市長/三船敏郎が象徴する日本はほろ苦い。

近代国家のタテマエとして反対意見を紹介するだけしといて、論理的な検討を行わず、暗黙の筋書き通りに事務的に判子を押して進めていく。という、他者へのリスペクトという概念の換骨奪胎ぶりはすごく日本ぽい。

彼が躍起になってドッグ病の研究を潰すのは、自らの野望というよりも、各種業界団体の利益のために、国を挙げてのプロジェクトを円滑にすすめるための官僚的なふるまいでは。あるいはわかりやすい外敵が必要な民衆の心情を忖度したからではなかろうか。

クライマックスの市長の翻意の理由がわからなかったのだけど、それはわれわれがいつも気づくと飲み込まれている「空気」に、水をさしてもらいさえすれば真っ当な判断もできるようになるはず、ということを伝えたかったのかもしれない。

三船が七人の侍で日本人の百姓の心象を吐ききったことを受けて、三船を降臨させる以上そのキャラクターに日本を象徴させようということでああなったのかなどと考えたりもする。

官僚主義とポストトゥルースなディストピアにあって、犬たちのハードボイルドな優しさとハッカー的なアイデアが打ち勝つという話を、図式的でなくほんのりとした希望をもって、脱臼したユーモアで語る (手術室の渡辺謙最高) のは素敵だと思う。

そのへんのバランス感覚・デザイン感覚、センスの良さは炸裂しまくりで、観ていてハッとさせられるショットの構成(ストーカーばりの線路の横移動)やライティング(ナツメグの後光、ビンのテント)は大変楽しみました。

通訳のスイッチングのスピード感や日本語フォントへのデザイン感度にも感心。そのへんの意味の読み解きは追い追い考えます。。