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パッチ・オブ・フォグ −偽りの友人−のutakoのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

50歳を過ぎた主人公サンディは、25年前の著者『一面の霧』が今でも売れ続けているベストセラー作家兼大学講師。その傍ら万引きをやめられない常習犯で、ある日警備員のロバートに捕まってしまう。TV出演もする有名人であるため警告だけで許して欲しいと一悶着の末、通報しない代わりに『友達』になる事を条件に出され…。

コインで義兄弟の契りなんかも(一方的だけど)交わす2人ですが、決してコメディではない筈なのに成功者のサンディと孤独なロバート、ずんぐりむっくりなおじさん2人の序盤の攻防は不気味さはあるけど何やってんのwと可笑しくなる不思議な感覚がある作品でしたね。
防犯カメラの録画ディスクを奪うためロバートの家に侵入・ディスク処分して関係が断たれたかなと思えば、またその状況を録画されており脅迫されたかと思えば、ロバートがサンディをストーカーし生活を覗かれたり、二人の立場が二転三転しスリルがあってラストが読めません。

後半、ロバートは別の万引き犯とサンディの時と同様の手口で友達になろうとしてますが、何か違ったんでしょうね。サンディにだけ同じニオイを感じたというのか…。
なんやかんや互いの秘密を共有・理解していく二人。一見成功者に見えるサンディも、クライマックスに暴かれる秘密によりロバートがたった一人の理解者になってしまうあたり、タイトル通り『一面の霧』に包まれた似た者同士だったのかもなぁ…と、クリスマスカードが皮肉ながら物悲しく映るラストでありました。

最近観てるドラマでの芝居がカリスマ的で存在感凄いわーと、スティーヴン・グレアムに興味津々で観てみましたが、この作品は物静かながら不気味さと哀愁漂うお芝居が秀逸。犯罪作品、犯罪者役が多い印象だけど他も観てみよう。
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