このレビューはネタバレを含みます
※映画として描き出す背景が限られた時間軸と場所なのに、無理に詰め込むということもなく物語を違和感なく展開させている演出には好感を覚えました。抽出しようと思えば色々なテーマが浮かんでくるのですが、そこを深堀せずに淡い色調で淡々と描き出している世界観は素敵でした。
※ビリーを演じているティモシー・シャラメは、勿論原体験としては縁はないのですが何となくジェームズ・ディーンに似ているように思えてなりませんえしたね。繊細な若い男の子の存在感を強く醸し出していましたね。
※マーゴットがパーティ会場の壁に寄りかかりながらレイチェルを見つめているビリーの隣に立つのですが、そのレイチェルを残して何も声をかけずにビリーが立ち去るシーンは気に入りましたね。短いシーンでレイチェルのビリーに対する想いをセリフもなく描き出していて良かったです。
※恐らく青春映画と位置づけられる作品なのでしょうが作品全般に渡って何やら余裕をもって向き合っているようで、ふと感じるような想いを決して過剰な演出をすることなく描き出しているところも気に入りましたね。
※時折次のシーンへ移るときにおいて一瞬観客を戸惑わせる?ような演出が随所に出てきて、少しだけ戸惑いを感じることがありましたね。それでもレイチェルが冒頭の演劇発表会のステージを見つめているシ-ンは、レイチェルの亡くなった母親への思慕も漂わせた味付けがされていて何度か出てくるのですが、結構この演出は気に入りました。
※英語の教師 レイチェル・スティーヴンス、人づきあいが苦手なビリー、演劇が好きなマーゴット、陽気なサム、そして彼らがそれぞれに内に秘めたよくある葛藤?を抱えているという設定であれば、もっと大きな感情の起伏を演出したくなるのでしょうが、何度も言いますがそこを抑えている点が最高なのです。