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火の女のyabaioriのレビュー・感想・評価

火の女(1942年製作の映画)
4.0
キューカー作品が個人の支配あるいはファシズムを問題化する仕方には大きく二通りあり、一方の系列では主人公は愛情を盾にとられて近しい人に束縛され、もう一方の系列では社会関係の内に絡めとられる。二つの系列が大胆な仕方で交錯する本作は極めて特異な位置にある。
ミステリー的なプロットにはやや唐突に感じられる部分もあり、例えば『ガス燈』の方が洗練されているとも思うが、むしろそのアンバランスさにおいてこそ時代背景に見合った不穏さと強度を帯びている。
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