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ムンバイのバイオリン弾きのトレバーのレビュー・感想・評価

ムンバイのバイオリン弾き(2016年製作の映画)
4.5
Netflix恐るべし。
こんな作品がコッソリ隠れてて、
まだ全然観られてないんだから。

フォロワーの方がご覧になっていて
なんか妙なテイストっぽいので興味を持ち
時間があったので早速気軽に観てみたら、、、。

わあ なんだこれ(ビックリして棒読み)

ボクは、こんなダウナー・ローテンションで
ブラックなコメディ色のあるインド映画を
観たことがありません。

アッパーで、歌い踊りコッテコテの笑いと
人情が怒涛の如く押し寄せる、
エンタメの押し売りインド映画。

間、ですよ。行間ですよ。緩い笑いですよ。
ホラーみすらある。
フランスとかのアート系映画の気配もします。
でも、主役は平井堅のように濃い顔(似てはいない)

舞台はムンバイ。
奥さんに支払いを頼まれても半額しか払えない、
月の新聞代も用意出来ない、主に映画のBGMの
演奏の仕事を細々としているバイオリン弾きが主人公。

仕事を終え、帰りの電車のホームで待っていると
向かいのホームからじっとこちらを見つめる男。

身なりは整っている。ずっと見つめてくる。

中座して売店で飲み物を買ってる時も、目線は
ずっとこちらのまま。向かいに電車が到着しても
まだいる。怖い。
奥さんに電話をする。出ない。

電車が到着する。乗ってこの場を離れたい。

呼び止められる。ドキッ!
いつのまにか横まで来ていた。

ここまでの下り、特に何もないんですが
間の取り方や意味ありげな暗転が凄く効果を
発揮しています。淡々としていますが、
主人公の人間性やムンバイの空気感も伝えてきます。
ホラー的スリリングさ、すらあります。

逆ナン、じゃなくて仕事の依頼だった。
バイオリンを持っていたからだろう。
男は映画監督で、映像に演奏をあててほしいという。
報酬も相場の倍。突然の依頼に戸惑いと恐怖を
感じながらも、依頼を受ける。

移動中の車内でのやり取りもいいんです。
間が持たずに喋り出し、実は消えていない
音楽への情熱が垣間見えるあたりとか、
後半の展開に効いてくるんです。

是非興味を持たれた方はご覧頂きたいです。
コメディ色のある何とも言えない作りの中に
芸術というものへの敬意と愛情が感じられます。
万人受けするものではありませんが、
妙に心に残る映画でした。好きですねー。
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