ミスミソウを鮮烈な描写で再現した内藤監督が、今回は「同級生を殺す」というドキッとするようなプロローグから物語を展開。
ちょっとB級感が出てしまうのは手癖だろうか(序盤はかなり鋭いが)。
しかし表現したい事に対し真摯な研究と幅広い下調べが、ミスミソウにはなかったリアルを始終醸し出す。
上中下のノベルズを読むが如く、ストーリーがくっきり分かれており、人によっては飽きたりダレたり、かも。
私はどんより重たい空気がずっと続くので、怖いもの見たさで案外最後まで観れた。
製作陣、演者の熱意が伝わる大作は大作。
今話題の某寿司チェーン店でのいたずら動画問題。
一昔前なら動画撮影自体、素人には手軽に出来なかったし、ましてそれを世界中に拡散など考えられなかった。
凄まじいスピードで晒され万人から受ける誹謗中傷は加害者とその家族を法律以上に罰する。
「悪い人間」は待ったなしにデスノートに名前を記されるみたい。
そして事件がマスコミ以外のネット上でも加熱しエスカレートすると、その矛先は被害者にまで及ぶ。
今作でも法律以外での人の業がドロドロと渦巻くカオス。
殺した人間=加害
殺された人間=被害
の単純な方程式が成立しない現世。
少年犯罪における裁判の曖昧さ。
なりふり構わず子を守る母の本能。
正義が沈んで見えなくなる。
警察怖い…。
記者も弁護士も民衆も…
人間、怖い。