是枝にしてはそれほど引っ掛かるものはない。考え得る限り最良の方法で原作を映像化してみましたと、プロとしての仕事に徹しているような印象がある。他の是枝作品と比べて余白が少ないように思う。原作がそうなのか、あえてこちらの想像に委ねられているような部分も見られるが、それもどことなく策略めいている。映画的な余白ではなく小説的な余白に見える。福山雅治と役所広司の顔が面会室のガラスによって重なったりどちらが反射でどちらが実体なのか分からなくなったりする演出はとても好きだった。本当に囚われているのは果たしてどちらか。人が人を裁くなんていうのは土台やはり無理みたいだから早くシンギュラリティ起きて文明めちゃくちゃになってくれ。
