ももまま

三度目の殺人のももままのネタバレレビュー・内容・結末

三度目の殺人(2017年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

是枝裕和×役所広司×福山雅治の『三度目の殺人』、本日公開です(^-^)✨
新宿TOHOシネマで鑑賞。
是枝監督には珍しい異色の法廷心理サスペンス映画。
とにかく、役所広司さんと福山雅治さんの緊迫感漂う迫真の演技、素晴らしい。・°°・(>_<)・°°・。
実社会とシンクロするリアリズム、登場人物達の心理奥深くに沈み込むような演出、映像美や映画音楽に至るまで非常に完成度の高い映画でした✨
心に深く残る台詞も幾つか。
「立場は違えどみな同じ司法という船に乗るものだ」
「ここでは誰を裁くかということを誰が決めるのか」
「貴方は器(うつわ)なのか?」

「器」は三隅(役所)を初犯時に逮捕した老いた刑事の言葉、「空っぽの器のような男だった」から来ているのでしょうが、三隅という男の心理を追う重盛(福山)からすれば、「信仰の器としての人間」という意味を含めていたのではないかと深読みしたくなります。
犯行現場やカナリアの墓所に残された十字架、ラストの接見で差し込む光を受ける三隅の牧師のような佇まい。
原作もぜひ読んでみたいと思いました。
出口調査で点数を聞かれ迷わず「95点‼︎」と即答しました。是枝映画ファンにはたまらない作品です(^-^)✨
ぜひ映画館でご鑑賞あれ

9.10追記
『器』という表現が何を意味しているのか鑑賞後から頭の片隅を離れませんでした。

芸術作品というのは、映画であれ文学であれ、公開され人目に晒された瞬間から、創り手のものではなく受け手のものになるという側面があります。
どのような解釈をするかはその個人に委ねられ、個人の数だけその人だけの真実が存在することになる。
三隅(役所)が殺人者なのかそうでないのか、善人なのか悪人なのか。
それを解釈することは観客一人一人に委ねられており、三隅はその解釈の『器』でしかないのだ、とも思えてきました。
三隅を善人と信じたいか悪人と信じたいか或いは他の存在と信じたいか、それはあくまで重盛(福山)や観客一人一人の心に、委ねられているのではないかと思えます。
つまり『器』とは、是枝監督から観客一人一人に向けて出された、人間性というものに対する問いであり、正解は存在しないのではないでしょうか。
ももまま

ももまま