無難

三度目の殺人の無難のネタバレレビュー・内容・結末

三度目の殺人(2017年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

- - - 感想(ネタバレしない)---
人が人を理解することなんてありえるのか、自らの曖昧さから逃れられないのにどうやって判断や裁きを下すことができるのか、という問いかけ。世の中の真実なんてものは所詮誰かが宣言した主観にすぎないのに、それを前提として無意識に受け入れて生活しているのでは?という無自覚さの指摘。それらに対して、足元の深いところを揺さぶられている。

---備忘録(プチネタバレ)---
印象的だったのは、弁護士・重盛と被告・三隅の間に常にある「壁」。それが一瞬だけ消えるカットがあって、人を理解しようとする姿勢の尊さや、人の理解という行為自体の曖昧さ、虚無感の表れに感じた。
登場人物はそれぞれに発言し、もっともらしく聞こえる。でも、それを確認する術はなく、話は司法というシステムを最優先して進行してしまう。自分と他人を取り巻く曖昧さに対して、判断というか見切りをつけて、次に進まないといけない。それに疑問を抱いたり迷ったり心を痛めたりしなくてすむように、基準や指標や”常識”みたいなシステムを作ってきたのが人間の歴史で。だからその過程・前提を忘れて無自覚にそのシステムに乗っかっていてはいけないな、と諌められているような気になっている。
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