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三度目の殺人のbadhabitのネタバレレビュー・内容・結末

三度目の殺人(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

タイムリーに、殺された側に非があったから、情状酌量の余地があるのだと暗に繰り返すニュースが流れていた。命は選別されている。
凄く面白かったという感情と、難解だったという感想が並んで心に残った。
サスペンスであると思えば、真相が知りたい。けれど、楽園と同じようにきっと真相に意味などなかったのだと思う。重盛と同様に、俯瞰している自分も三隅の潔白を心から信じられていただろうか?
他の人の感想が気になって幾つか考察ブログを読んだけれど、三隅に不思議な力があったと言われるとそれがしっくりくるような気もする。オカルトに近い見方をすれば、呪いを代行するには依り代がいる。自分に似せた人形に、呪いや怨みを全て受け止めさせて身代わりにする護身法がある。
三隅は、誰かの呪いを代行する器であり、その分の罪を肩代わりする依り代だったのではないか。
三隅は他人の強い感情に同調する力があったんじゃないかな。でないと接見室の板越しに手を触れて重盛の娘のことを言い当てたのが説明がつかない…。そして、一度同調した相手には自分と同調させることも出来たのではないだろうか。重盛がまるで洗脳されたかのように三隅の感情を代弁するような描写があったのでそう感じた。
ただ多分そういう、やや非現実的な設定が裏にあったとして、作品そのもののテーマはもっと身近で切実なものだと思う。人が人を裁けるのか。
色んな人と考察を共有したくなる映画だった。
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