佐藤克巳

暖流 (再編集版)の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

暖流 (再編集版)(1939年製作の映画)
5.0
公開時前篇・後篇全3時間を現存する2時間強の短縮版だが、返ってスピーディーになって良く観えたかも知れない。「兄とその妹」を撮って快調島津保次郎が東宝移籍したピンチヒッター弟子吉村公三郎監督の評価を一躍高めた戦前ラブロマンス映画の最高峰に位置する傑作。和製フレドリック・マーチ佐分利信が、恩人の病院長藤野秀夫の窮地を救う為台湾から帰国し、病院再建と財産保護に奔走するうち、令嬢高峰三枝子に夢中になったが、病院内のスパイとなった看護婦水戸光子の熱愛に絆され結婚を決意する。噂に聞く外科医徳大寺伸の色魔振りは期待ハズレだったが、ハードボイルドな捌きが冴えた佐分利の躍進に加え、貴婦人高峰と庶民派水戸の美の饗宴も見事だった。
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