ノットステア

隣人のノットステアのレビュー・感想・評価

隣人(1952年製作の映画)
4.1
同胞に親切なれ

○感想
ノーマン・マクラレンの反戦映画。
ピクシレーションだからこそ描ける激しい暴力。
セリフなし。心地よい電子音のみ。



○武蔵野美術大学 美術館·図書館イメージライブラリー映像作品データベース
隣人
ある所に2人の男が仲良く住んでいた。しかし、その2人の間の庭に美しい花が咲いたことから、2人の関係は崩れ始める…。 人間をコマ撮りするピクシレーションの技法で制作したマクラレンの代表作。言葉を排し、俳優の表情や動きをカリチュアライズして描くことで争いの無益さを観る者に投げかけた。赤ん坊と女性に暴力を振るうシーンは過激すぎるとしてカットされたが、ベトナム戦争による反戦意識の高まりに伴い、このシーンの復活を望む声があがり、オリジナルの形に改めて編集し公開された。 音響はマクラレンが考案した周波数カード(描かれたパターンを撮影し映像に同期させる手法)が用いられた。 アカデミー賞、ローマ、サレルノなど9つの映画祭で受賞。
https://img-lib.musabi.ac.jp/search/document/detail-work/8343



○『フィルムセンター43号』P11、東京国立近代美術館フィルムセンター
ユネスコからアニメーション技術指導のため、中国に派遣された矢先に朝鮮戦争が勃発したことがきっかけで本作の制作をしたそうだが、いつまでたっても争うことを止められない人間の愚かさをストレートに伝えている。
登川直樹(1977)「ノーマン・マクラレン監督 アニメーション特集 イメージに吹きこまれる生命感・その魔術」



○artscapeアートスケープサイト
ピクシレーションPixilation
人間をコマ撮りすることでアニメーションを作る技法。アニメーションは一般的にドローイングや人形などの無生物を撮影することで運動を創造するが、ピクシレーションは人間をコマ撮りの対象とすることで、高速度撮影やコマ抜きとは違ったかたちでそれを行なう。スチュワート・ブラックトンやエミール・コールなど初期映画のトリック撮影に同様の手法の萌芽は見られるが、この技法を一般化させたのはノーマン・マクラレンの初期の諸作品『隣人』(1952)や『いたずら椅子』(1957)である。比較的簡単に制作できることから、アニメーションの初心者向けワークショップにおいてピクシレーションはひとつの定番となっており、現在の動画サイト全盛の時代においても、大きな存在感を放っている。ピクシレーションをより大きな枠組みで捉えると、『SPACY』(1981)をはじめとする伊藤高志の諸作をその応用として考えることができるし、トーチカによる近年の「PiKA PiKA」プロジェクト(2006-)も、ピクシレーションと長時間露光を用いた光の痕跡による描画をミックスしたものであると考えることができる。
https://artscape.jp/artword/6617/

以下、あらすじ












○あらすじ
2軒の家(張りぼて)。2人の男。
互いの家の真ん中に不思議な花が育つ。動くしと〜ってもいい匂い。交互に花の嗅ぐ。一緒に嗅ぐ。仲良くしていたはずなのに。
一方が示す。この花は僕の家に近い。
もう一方はいや、僕の家に近いと反論。
ピケットフェンスというのかな。木の棒を刺していく。もちろん花を自分の側に入れるように。
もう一方は超能力でピケットフェンスを刺しなおす。
おっ始まる喧嘩。ピケットフェンスで殴る。剣の戦い。殴り合い。
家の中にいる相手の妻と子を殴り飛ばす。
相手を殴るたび、顔にペイントが描かれ、怒りの表情に。
互いに死ぬ。
墓ができる。ピケットフェンスが動く。花が動く。
いろんな国の文字が示される。「同胞に親切なれ」