春巻

ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラの春巻のネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

コルビジェは、画家時代にピュリズムがキュビズムの焼き増しに過ぎないことに気付いてしまったり、理想先行のチャンディーガルの都市計画はスラムと化してしまったりと、モダニズム建築の祖として華やかに知られてる割には泥沼で人間じみた人生を送ってて、この映画でもプライド高くて嫉妬っぽいいやなやつとして描かれてるけど、納得が行った。

コルビジェの肩をもつと、まあE1027をコルビジェが愛してたことはコルビジェが自分の誤りを認めてたってことだと思うし、会議にアイリーンを呼ばなかったことは、なによりもの尊敬の裏返しだと思う。べつに家をけがそうとして壁画描いたわけじゃない。

劇中でも言われてたように、建築は科学と芸術の中間的なもので、コルビジェは普遍的な法則にこだわったり、アイリーンに反証をもとめたりと、科学的なアプローチ、アイリーンはもっと主観的で直感に基づいた芸術的なアプローチで、お互い相入れなかったということだと思うけど、科学がどんどん力を強めている現代だと、もっとその二つの溝は深まってて、こういうこといろんなとこでよく起こってるんじゃないかなと思う。

映画としてはそれほど激動的なストーリーではなかったかもしれないけど、史実映画として面白かった。
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