小林玉季

作家、本当のJ.T.リロイの小林玉季のレビュー・感想・評価

作家、本当のJ.T.リロイ(2016年製作の映画)
3.6
声を発することができない部分の自分はローラにだけじゃなくて、きっと誰の中にもいると思う。

気づかれもせずに無視され続けてる場合もあるんじゃないかしら。

でも、声を発せずに放置されたもう1人の自分はきっとそのままおとなしくはしてなくて、何かの形になって現れる。

そうなる前に、そうなってからでも、言葉にして、陽の当たるところで大丈夫だよ。って言ってあげられたら、本当の意味で自分になれるのじゃないかしら。
ローラはきっと、今回の映画を通して、その一歩を踏み出せたんじゃないかしら。

と思った。

インタビューの彼女の言葉の真実味のある音に心が震えた。

依存とか、病気とかも、きっとその声を無視し続けた結果のことが多いんじゃないかしら…


自分の心にわがままなのは、悪じゃない。


それを言葉にして、アートにして、外に出してあげれば、自分の中に閉じこもってた自分は、少しずつ癒されて行くのかもしれない。
小林玉季

小林玉季