キャサリン子

ブラックボード 戦火を生きて/戦場のブラックボードのキャサリン子のレビュー・感想・評価

3.6
1939年第二次世界大戦下。
ナチス反対派のドイツ人、ハンス(アウグスト・ディール)と、その息子のマックス(ジョシオ・マルロン)は、ドイツからフランスの田舎町に逃れてきた。
ドイツ人であることをひた隠しにしながら農夫としてひっそりと暮らしていたハンス父子だったが、ある時、不法滞在で逮捕されてしまう。
ハンスが拘留されている留置場が空襲に遭った時、ハンスはそこから逃げ出すことができたが、村に戻った時には既にマックスは村人たちと逃げた後だった。
彼らの行く先が分からず途方にくれるハンスだったが、学校の先生に保護されていたマックスが教室の黒板にハンス宛てのメッセージを残していたことに気付く…。


自国を敵に回してでも、敵国であるフランスに逃げ込んだナチス反対派のドイツ人がいたなんて思っていなかったので、正直驚いた。
ドイツから逃げてフランスに入っていたのはユダヤ人だけなのかと思っていました。
史実ではおよそ800万人がフランス北部から町を追われ、南部の地域へと列を成して大移動したとのこと。

ドイツから逃れた共産主義の父子を軸に、ナチス・ドイツのフランス侵攻により、フランス南部へと疎開していく民衆たちの逃避行を描いていますが、時には残酷なシーンもあり、戦争がもたらす悲惨な現実をきちんと示してくれています。
子供たちに残酷な現実を見せないようにと、進路を迂回しつつ朗読に気を引くシーンは実に印象的でした。


ハンスが逮捕されるまでに至る経緯がやや分かりづらかったのと、その後の父子の再会が唐突すぎるところが少し残念でした。
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