鰹よろし

ザ・コレクターの鰹よろしのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・コレクター(2016年製作の映画)
2.6

このレビューはネタバレを含みます

 コミコン?におけるコスプレ(仮装)をした人々が最初に描かれる。様々なキャラや造形の衣装を模している。そういう文化があるのだと。同じ趣味を持つ人間たちの交流の場にて1人女性は全く違和感は無い。しかし会場から一歩外に出れば・・・

 そして駅で電車を待つ場面。衣装としては彼女が浮くものの(といっても比較できる人間があまりいないのだが・・・)、そこにて別の理由で浮く人間が描かれている。駅のホームギリギリに立つ男。彼は電車を乗る物とは別の意味で待っていることを示唆する。

 コスプレイヤー、自殺志願者、カップル?、中国マフィア?、意味深発言男・・・、年齢や職業や国籍といった括りで人種の違いと表現するが、様々な境遇の様々に闇を抱えている人間たちが会することになる。

 一見それぞれ何かしらに適さない異質さを兼ね備えた人間たち。そんな者たちが見舞われる非常事態。この非常事態にてその人間を評価・判断する上で先行してくる情報、敬遠すべき垣根が取っ払われるという状況を描き出したいのだろう。そこで見えてくるもの。個性とでも言おうか、本質(本音)とした方が良いか。何と向き合うことになるのか。

 人間は何かしらの感情を常に抑えて生きている。欲というものを時に我慢しコントロールしている。狭義には本音と建前というところだが、これを浮気といった秘め事を始め描かれている。そして究極は人が人を殺すというものである。晒された状況によりタガが外れてしまう。

 あの化け物への変異が闇堕ちといった様に映るが、そんなところを踏まえると実はただその抑えている何かが剥き出しになっただけ、あの姿こそが人間という生き物の本来の姿、本性・本質なのだと捉えることもできる。

 前任者を親子として子どもを描いているのもこれとの兼ね合いだろう。本来子どもとは純粋無垢なものであるとされる。しかしそんな子どもにも本来の姿はあるのだと。ただ子どもは襲ってこないんですよね。遊んで・・・、くらいのノリ。

 その「場」や「雰囲気」といったシチュエーションに適しているのか否かで人は自他(ひと)を判断する。それを個性豊かな登場人物たちにて意識に登らせ、メインとしたいところは男女関係だろう。男が女を、女が男を好きになるという事象(現象)。いったい彼の彼女の何が好きなのか。

 我々は手の平の刺青にて化け物が誰だったのかを認識するが、彼は彼女をどうやって認識できたのか。我々とは別に何か他の要因が存在したのか否か。そして姿形を変えた者と今までの様に接することができるのか否か。前任者との関係性で兄弟というものが描かれているがこれもまた対比になっているのだろう。
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