こまち

サマーフィーリングのこまちのレビュー・感想・評価

サマーフィーリング(2016年製作の映画)
4.5
突然大切な人がいなくなってしまった中で、残されたその恋人や家族が喪失感と共にどう生きるかが描かれている。

美しい映像はもちろんのこと、説明的な描写が省かれることで、人物たちの会話や状況、表情からひしひしと伝わってくる複雑な想いに胸を打たれる。

直接的、具体的な描写を省いてしまうと混乱を招く可能性だってあるし、かなりの潔さが必要だと思うけど、表面的にならず情緒感が漂っていて、その余白に魅せられる。
余白の残し方ってすごく難しいと思うけど、この監督は切り詰められた描写の中にある登場人物の言葉や表情の深みが絶妙。
逆に何とも言えない人間の生々しさが出ているような気がする。

恋人を失ったロレンスそして妹を失ったゾエ、二人は互いに支え合うようになるが、彼女だった人の妹、姉の彼氏だった人という複雑な関係が二人を繋ぎ止めているようで引き離そうとする。

特に、ニューヨークの場面はロレンスといい感じのイーダも加わってよりもどかしさが増した。
ゾエがロレンスの部屋で泣くところは思わずグッときてしまった。


アマンダと僕はすごく心を掴まれた作品だから、同監督のサマーフィーリングも観れてよかった…他の作品も全部日本公開してほしいくらい。
今思えば、数年前初めて行ったミニシアターでもらったフライヤーの中にサマーフィーリングがあって、綺麗だなあと思ってと取っておいたのはめっちゃラッキーだった。
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