こまだこま

サマーフィーリングのこまだこまのレビュー・感想・評価

サマーフィーリング(2016年製作の映画)
3.6
大切な人を亡くしてからの3年の歳月を丁寧に綴った物語。
最愛の人の喪失から物語を書くことが難しくなり、"助けてほしい。どうしたらいいのか分からない。"と漏らすローレンスの本音が愛おしかった。それに対する"分からない"というゾエの返答も印象的だった。傷が癒えるために必要なのはやっぱり時間という要素が大きくて、悲しくても毎日を生きていくことで少しずつ喪失を受け容れていくことができるのだと思う。忘れてしまうことは悲しいけれど、生きていくためには前を向き続けなければならないというジレンマと難しさを感じた。心の痛みを生きる糧へと昇華できたなら、どれだけ幸せなのだろう。
同監督の『アマンダと僕』よりも圧倒的に好きだったな。感傷的にさせられる美しい映像と、添えられた優しい音楽が素敵。また、キザな台詞なしで行動で示す親愛の情がとてもリアルだとも感じた。
余談だが、冒頭のシルクスクリーン制作シーンを観て、大学の頃が懐かしくて猛烈に版画やりたくなった。
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