tubure400

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのtubure400のレビュー・感想・評価

3.8
シーツをかぶったお化け、という、ともすれば、可愛らしいだけ、になりそうなモチーフを使って、ここまでgraveな、重みのある作品になっている所がすごいと思う。主演俳優がかぶっている『キャロル』や『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の世界と地続きな感じの、リアリスティックで、ロマンチックで、閉塞感がある、いい映画だった。

途中までアイデア一発の印象的な小品のような作品だな、と思っていたけれども、ボニー・プリンス・ビリーの謎めいた哲学的で、ニヒリスティックなスピーチに続いて、『ツリー・オブ・ライフ』ばりの超展開があってびっくりする。それがすべてうまく行っているという気はしなくて、むしろ唐突さがあったけれども、ただのダークなロマンスというより人生とか、世界を描きたかったような心意気が見えて、それはそれで良かった。

個人的にはとてもbelievableな死後の世界の描写だった。悪い夢のようで、ただ見守ることは出来るけれども、けして交流は出来ない。どんどん季節が流れて、愛する人が去った後も、関係のない人々が生きていくだけで、それも見守ることしか出来ず、いずれは家は崩され、宇宙は膨張し、すべては無意味ということになるだろう。我々が出来るのは、好ましい思い出をポエムにして柱の中に隠すことくらいだろう。ただ、それは、しょぼい幽霊を成仏させられる程度には素晴らしいことなのだろう…というような事を思った。
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