HOSHI

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのHOSHIのレビュー・感想・評価

3.0
 新宿シネマカリテにて鑑賞。予告編を観て,どうしようもなく惹かれて観たくなってしまったので,仕事終わりに駆け込みました。平日の夕方でしたが,半分くらいは席が埋まっていました。

 PolaroidやInstagramのように正方形で角丸の映像は,Lomo LC-Aで撮影したような色調と被写界深度の浅い,解放側の映像でピントも甘め。90年代のアート作品のような映像に初めのうちは目が慣れず,このまま観続けられるのだろうかと不安になりながら座っていました。
 演出は抑制的で台詞もほとんどなく,発端となるCとMの生活のパートは淡々と進んでいきます。断片的な場面はそれぞれが何を意味するのか,初めのうちはわかりません。場面が移り,映画が進んでいっても,自分が何を観ているのかわからないままでした。意味があるのか,ないのか,そんなことを解釈する類いの作品ではないのかもしれません。
 それでも物語は淡々と進み続けます。物語という物語があるのかもわかりません。映画を観終わっても何を観ていたのかはわかりませんが,どのような物語だったかだけはわかります。しかし,それを人に伝えることはとても難しい作品です。

 M役のRoony MARA氏が儚くも美しく,いつまでも見ていられます。目が離せなくなる存在感が素晴らしい。C役のCasey AFFLECK氏は序盤だけなので評価が難しいです。Ghost の中身も彼が演じていたそうなので,彼の挑戦を称えたい気持ちです。彼らはDavid LOWERY監督の作品“AIN’T THEM BODIES SAINTS”で以前にも共演しており,そのときとは作風が大きく違っていたので面食らいました。LOWERY監督に興味を持ちました。

 誰にでもオススメできる類いの傑作映画ではないですし,観ていられずに眠ってしまう人もある作品だと思います。それでも僕はこの映画に惹かれてしまいます。その理由をいつか言葉にできると良いなと思っています。
HOSHI

HOSHI