やっちゃん

羅生門のやっちゃんのレビュー・感想・評価

羅生門(1950年製作の映画)
4.2
芥川龍之介の『藪の中』『羅生門』を原作にした黒澤明監督の代表作にして日本映画の傑作。

乱世の京。羅生門を舞台に据え『藪の中』をほぼ踏襲する展開。練られた脚本の妙に加え発せられる作品の力強さ。役者の眼光の鋭さには目を覚まされるようなインパクトがある。
多襄丸を始めとするキャラクター。彼のように肉体で演じている様をみると、役者にハートを突かれるような「良い映画に出会った喜び」に胸が湧く。

演技、画、音楽の効果。どれをとってもこの映画は鑑賞者の芯に迫るものを持っている。原作以上の巧さがありつつ、人間描写の深さや心情の機微を表現に変えた原作者への忠実さが「羅生門」の底支えになっていると思う。
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