どーもー、どうも！
ミ◯クボーイですー！
お願いしますー！
ありがとうございますー！
ありがとうございますー！ねっ！
今、『となりのトトロ』より、メイちゃんの片方のサンダルをいただきましたけどねー！
もうこんなん なんぼあってもいいですからねー！
ありがたいですよー！
ねー、言うとりますけどもー！
マッチョ「いきなりですけどね、ちょっとウチのオカンがねー、好きな映画があるらしいんやけど、その名前を忘れたらしくてねー
」
角刈り「映画の名前忘れてもうてー どうなってんねんそれー」
マッチョ「せやねん」
角刈り「せやけど、オカンが好きな映画なんか『鉄道員(ぽっぽや)』か『幸福の黄色いハンカチ』ぐらいやろー？ オカンの世代は高倉健のこと大好きやねんもんねー」
マッチョ「それが違うらしいねんなー」
角刈り「違うのー」
マッチョ「まぁ、色々聞くんやけど、全然わからへんねんなー」
角刈り「ほな、オレがね、オカンの好きな映画のタイトル、一緒に考えてあげるから、どんな特徴言うてたかっていうの、教えてみてよー」
マッチョ「オカンが言うには、芥川龍之介の短編を原案に、超大御所監督がメガホン取った、シロクロの映画やって言うねんな」
角刈り「あぁー、『羅生門』やないかい その特徴は完全に『羅生門』やないかー あの "世界のクロサワ" の映画やんか、すぐわかったやんこんなんー」
マッチョ「ちょっと、わからへんねんな」
角刈り「なにがわからへんのよー」
マッチョ「俺も『羅生門』やと思っててんけどな」
角刈り「そうやろ？」
マッチョ「オカンが言うには、小さい子供でも気軽に見て楽しめる映画やって言うねんな」
角刈り「あー、ほな『羅生門』と違うかー 小さい子供が『羅生門』なんて生々しい映画を楽しめるわけないがらね、そもそも大人でもモノクロ映画という時点で敬遠されがちやなんやなら！ほな『羅生門』と違うがなこれー！ もう少し詳しく教えてくれるー？」
マッチョ「オカンが言うには、台詞がめちゃくちゃ聞き取りにくいらしいねん」
角刈り「ほな『羅生門』やないかい！ただでさえ、古い邦画は台詞が聞き取りにくいのに、『羅生門』はその上、土砂降りのシーンが半分やからねー ほんで見てるときテレビの音量30ぐらいに上げたことを忘れて、見終わった後に普通にチャンネル付けて、うるさくてビックリするもんねー！『羅生門』やんかそんなもん」
マッチョ「わからへんねん、でもー」
角刈り「何がわからへんのよー」
マッチョ「俺も『羅生門』と思ってんけどなー」
角刈り「そうやろー！」
マッチョ「オカンが言うには、その映画の聖地巡りが流行ってるって言うねんな」
角刈り「ほな『羅生門』ちゃうやないかい！！羅生門は跡形も残ってないもんねー！ 現在は住宅地のど真ん中の公園に、申し訳なさそうに ポツンと石碑があるだけやねんから！誰が楽しめんねんな！！『羅生門』ちゃうがなそれ、ほなもうちょっとなんか言うてなかったー？」
マッチョ「オカンが言うには、三船敏郎の演技も凄いねんけど、他の役者も負けてないらしいねん」
角刈り「ほな『羅生門』やないかい！！三船の演技はいつも凄いけども、それ以上に女優陣の演技が凄いのよ、京マチ子の演技も凄いねんけど、何よりも霊媒師を演じた本間文子の怪演には鳥肌もんやねんから、ほんでオカン 三船出てるって言うてるやんか！『羅生門』に決まりやー！」
マッチョ「でもわからへんねんなー」
角刈り「なにがわからへんのよ！？」
マッチョ「オカンが言うには、ジャンルで言うとミュージカルらしいねん」
角刈り「ほな『羅生門』とちゃうやないかい！！『羅生門』はサスペンス調でありながらも、人間の脆弱性やエゴイズムを描いた人間ドラマやねんから！！三船がいきなり歌って踊らんからねー！！『羅生門』はミュージカルから一番遠いジャンルなんよ！『羅生門』とちゃうよ、ほんなら！！もうちょっとなんか言うてなかったー？」
マッチョ「オカンが言うには、芥川龍之介の『藪の中』に似てるらしい」
角刈り「ほな『羅生門』やないかい！！タイトルこそ『羅生門』やけども、内容はほとんど『藪の中』やからね！！でも俺はタイトルは『羅生門』にして正解やったと思ってるよ ただでさえ古くてモノクロやから敬遠されているのに、タイトルまで地味やったら、若い子が見ないからねー！『羅生門』というタイトルのインパクトで助かってる部分はあるとオレは睨んでるからな！！ほな『羅生門』で決まりやもう 」
マッチョ「でもわからへんねん」
角刈り「わからへんことない！！ オカンの好きな映画は『羅生門』やー！！」
マッチョ「でもオカンが言うには 『羅生門』ではないって言うねん」
角刈り「ほな 『羅生門』ちゃうやないかい！！！ オカンが『羅生門』やないと言うんやから 『羅生門』とちゃうがなー！ 先に言えよー！ オレがこれだけ長文のレビュー書いてる間、どういうつもりで見てたん？」
マッチョ「申し訳ないよ だから」
角刈り「ほな ホンマにわからへんやん どうなってんのよー」
マッチョ「オトンが言うにはな…」
角刈り「オトン！！？？」
マッチョ「 『塔の上のラプンツェル』ちゃうかって言うねん」
角刈り「いや、絶対ちゃうやろ！ もうええわ」
