福福吉吉

光州5・18の福福吉吉のレビュー・感想・評価

光州5・18(2007年製作の映画)
3.5
◆あらすじ◆
タクシー運転手のミヌは弟のジヌと片思いの女性のシネとともに映画を観ていた。しかし、突然、映画館にガスが充満し、外に出た3人は、目の前で民主化を求める学生たちと軍が衝突し、負傷する学生たちの姿を見る。やがて、民主化のデモ隊は光州全体に及び、軍の攻撃はエスカレートしていく。

◆感想◆
実際にあった軍事政権に対する民主化要求蜂起を題材にしており、苛烈な軍の市民に対する殺人行為は軍の正当性を失わせるものだったと思います。

主人公のミヌ(キム・サンギョン)には両親がおらず、自らの手で弟のジヌ(イ・ジュンギ)で育ててきた弟想いの心優しい人物であり、好意を持つシネ(イ・ヨウォン)には奥手という昔ながらの好人物として描かれていました。序盤はこの3人の日常を描いた優しい日々を描いており、その後に来るストーリーの絶望感との落差をとても感じました。

全斗煥の軍事政権を否定する民主化運動が学生中心で行われるのですが、それに対する軍の空挺部隊の行動がとても運動の鎮圧のレベルでなく、民衆相手に銃殺していく様子は血の気が引きました。衝突になっておらず、一方的な虐殺にしか見えませんでした。

ストーリーとして重いものであるが、運動に参加する市民たちの日常など重さを和らげる部分も間に挟まっていて、必要以上に暗くならないよう明暗のバランスがとれていたように思います。

このような事件があったという事実の前に何も言えないですが、事件を風化させないためにも亡くなった人たちのためにも存在価値の高い作品であり、観て良かったと思います。

鑑賞日:2024年1月20日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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