南宮龍八

光州5・18の南宮龍八のレビュー・感想・評価

光州5・18(2007年製作の映画)
5.0
韓国では初めて光州事件(当時保安司令官だったチョンドゥファン/全斗煥の軍事クーデターに学生を含む全羅南道光州市民が抵抗した大規模な事件)を真正面から描いた作品で2007年度韓国映画年間興行成績2位(700万人を動員)の大ヒット作。原題の「華麗なる休暇」とはデモを鎮圧する作戦名のこと。前半のまったりとした展開は「タクシー運転手」同様に人情喜劇かと思ってしまいますが、唐突に始まる戒厳軍の大殺戮に一瞬思考が停止。全羅南道庁に立て籠る光州市民たちの戦いは絶望的で後口最悪ですが、続けて「タクシー運転手」を観ると更に感情移入できて心苦しさが増します。本作のDVDコレクターズエディション特典映像に収録されている「光州10日間の記憶」は当時学生デモに参加した人々の貴重な話が伺えるのですが、デモ隊に間違われ戒厳軍の暴力で全身麻痺となった男性(27年間(映画公開当時)寝たきりの生活)の証言は特に胸が痛みます。時系列として本作を観てから「タクシー運転手」、そして「26年」を観ることをお薦めします。
南宮龍八

南宮龍八