続編は心理は浅いが、派手な物量でパワーアップというのが多い。
悩みは一作目で解決するので、続編では悩みのないキャラになる。だから続編は大抵心理的に浅い。
その分、派手な見た目と物量で補うのだ。
一作目では、才能はあっても「自分の居場所が見つけられない」動物たちが、自分を信じて居場所探しに懸命になる話だった。
ネクストステージである本作は、とりあえず居場所は見つかったが、更なる高みを目指し、各々が「自分にとっての壁」をどう乗り越えるかの話だ。
クライマックスでドミノ倒し的に各キャラが次々と自分の壁を打ち破る瞬間を連続で見せ、カタルシスを得る構成である。
ただドミノ倒しを成立させるために、それぞれ壁のバランス調整が必要だ。
トリと大トリは、豚とライオンが担っている。
豚は伏線回収の派手なアトラクション。
ライオンは感動の見せ場。
だから、この二匹を越えないバランスがいる。
ゴリラは第一走者なので、派手目のアクションでスタートを切る。
中間の連中は、繋ぎなので割と壁が浅い。
その証拠に、ボスの娘(狼)の悩みはよく解らない。
バトンを繋いでいるので、彼女も抱えている壁はあるハズなのだ。
恐らく、大きすぎる父親の存在だろう。
甘やかされて育ち何もできないと言われることが、コンプレックスなのだろう。
他のメンバーとは違うタイプの悩みや壁なので、ちゃんと描いて欲しかった。ドミノのバランスを考慮して縮小されたのだろう。
彼女は主役を取られても、なぜか文句を言わない。
ワガママ娘の設定のハズなのに。変じゃないか。
自分のせいで公演中止になったのを気にしてるなら、本当は優しい娘だというのをそこで描くべきだ。
ちゃんと描かないのは、バランス配慮のせいだろう。
彼女のドラマが、他のメンバーより大きくなってはいけないのだ。
クライマックスのドミノ倒しのために、一番割を食ったのは彼女である。
劇中ではワガママ娘扱いだが、実は一番雑な扱いを受けている。
コアラを訴えるべきだろう。
一作目であれほど居場所を作ろう、何者かに成ろうと必死だったのだから、本当は居場所を与えてくれた目前の観客のために頑張るべきだった。
批評家受けや、エンタメの聖地で派手に活躍するなんて欲を出さず、地元の観客を大切にすべきだ。
ネクストステージはスターに成るのではなく、地元の華に成るが正解。
その間違いに気づき、聖地を捨てて地元に帰る。
いや、自分達にとっての聖地は我が町なのだと胸を張る。
批評よりも目前の観客の笑顔が採点。そこに気付くべき。
そうすれば傑作だっただろう。
ボスの娘と同じく、初期設定を忘れて作った駄作です。
(最後に地元に華を飾ってるが、そうではなく途中で地元に戻るべき)