evergla00

彼女がその名を知らない鳥たちのevergla00のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

【give, give, and take】

恋愛はgive and take。
誰でもtakerに傾きがちなので、お互いに、2/3はgiverになるよう努めると上手くいくとか…。

素敵な男性との恋愛を夢見ているのか、イケメンに弱い十和子。彼女が惚れてしまうイケメン達は、そういう女の孤独を見抜くのが上手いようで、弱味につけ込み利用します。

水島は…、かなり厄介なクレーマーが実は意外に可愛いかったと知っても、こじれるのが明らかな肉体関係を持とうとは普通思わない気がしますが(°_°)、イケメンだから?成功しうるクレーマー対策?(^^;)

黒崎のピアスも、包装されてないなんて、安物か使い回しに決まってます…Σ(-᷅_-᷄๑)

「運命」という、これ以上不確かな要素はないような言葉を安易に使う男を信用してはダメです。

そういう男達には表面的に弄ばれているだけなので、十和子の恋心は満たされることを知りません。どんなに恵みの雨がもたらされても、潤うことのない砂漠。花を咲かせることも、生きものを育む必要もない砂漠。十和子の心も砂が吹き荒れる淋しい砂漠のようでした。

そんな十和子に一目惚れ?した陣治は愛を与えるだけで幸せを感じることのできる人。十和子の笑顔が少し見れただけで嬉しくなれる人。十和子のためなら命も喜んで捨てられるなんて、究極の愛なのでしょう。陣治の愛し方は、クズだろうと殺人者だろうと、まるで目に入れても痛くない我が子に尽くすような溺愛ぶりでした。陣治が十和子に子供を与えたかったように話すのは、「子供をつくる・産む」ということは、一生無償の愛を与え続ける覚悟が必要で、与える側に立ってみる幸せを勧めているのかなと思いました。そういう強固な覚悟のない環境に生まれてきてしまう子供が少なくないのが現状ですが…。

そして現実的には…、十和子に治療を受けさせ、罪を償った後まで側に居てやるのが真の愛情だと思いますが、それだと十和子は肝心なことに気づかないままかも知れず、輪廻を示唆するような、陣治の自己犠牲を厭わない姿を見せる終わり方は、映画としては良かったと思います。

今あなたを強く愛する人は、かつて(前世で)あなたが強く愛した人か、いつか(来世で)あなたが心底愛おしく想う人なのかも知れません…。

その鳥の名は「愛」でしょうか。
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