こばまさ

彼女がその名を知らない鳥たちのこばまさのレビュー・感想・評価

3.6
かなり前から観よう思いながら、ここまで先延ばしにしてきた作品。
白石和彌監督作は、これで8作目。
果たして今回は、どんな白石和彌ワールドを見せてくれるのか。
それでは、タイムスリップしないバージョンの阿部サダヲをめがけていってみよう。


-下品で貧相で金も地位もない15歳上の男・陣治(阿部サダヲ)と暮らす十和子(蒼井優)は、8年前に別れた黒崎(竹野内豊)のことを忘れられずにいた。
陣治に対して激しい嫌悪を抱きながらも、陣治の稼ぎに頼り働きもせずに毎日を送っていた十和子は、黒崎に似た面影を持つ妻子ある水島(松坂桃李)と男女関係を持つ。
そんなある日、十和子は家に訪ねてきた刑事から、黒崎が行方不明であることを告げられ、動揺を隠せなくなる-

“究極の愛とは、一体なんなのか…”


なるほどなるほど…
いやいや、濡れ場?多くないっすか?
こんなに濡れ濡れな話だとは思いもしなかったので、ちょっとビックリ。

本作で蒼井優は、第41回アカデミー賞で最優秀主演女優賞を獲得しただけあって、彼女の演技はとても素晴らしかった。
『ロマンスドール』観た時も思ったけど、蒼井優は背中がめちゃくちゃ綺麗。
しつこいけど、山ちゃんは本当に偉業を成し遂げた男の中の男だ!


とにかくこの蒼井優演じる十和子が、自分勝手でワガママで何にでもケチをつけるクレーマー。
いや〜、こんなヤバい人とは一生関わりたくないね!
いくら綺麗で可愛くても…関わらない…はずだ…(意志の弱さが露呈

そして、その十和子の夫?でもなく恋人?でもない、何とも言えない同居人・陣治を演じる阿部サダヲ。
ずっと小汚い風貌、食事中は必ず差し歯?が抜け、食べ方も汚い下品な男。
しかし、十和子を想う気持ちだけは真っ直ぐで、もはや宗教の教祖様のよう。

さらに、ナイスタイミングで登場するのが、デパートの腕時計店の営業マン・水島を演じた松坂桃李。
『娼年』は観てないけど、めちゃくちゃ濡れ場担当。
松坂桃李って、こういう平気で人を裏切る人間を演じるのが本当に上手い。
要は、クズ男ね。

最後に、この物語の発端を担った黒崎を演じる竹野内豊。
この圧倒的な男前!この顔面の破壊力!
これは騙されても仕方がないよ…
しかし、久しぶりに短髪の竹野内豊を観たけど、どんな髪型でもイケメンはイケメンだった。


若干のミスリードも含め、物語のクライマックスは視聴者の思いと違う方向に進み出す。
そこからは負の連鎖を畳み掛け、なぜ陣治は十和子にここまで執着するのか、その全ての謎を明かす。


好みのジャンルだし、展開も面白かったけど、最後の回想?がちょっとしつこいと言うか、そこまで全部説明しなくても…と少し思った。
もっと謎が残ると言うか、足りない部分は観る人の想像に任せるラストでもありだったかな〜と。


白石和彌監督作の中では、真ん中ちょい上ぐらい。
浅野妙子さん脚本の映画は初めて観たけど、過去に手掛けたテレビドラマのラインナップを調べたら、見事に腑に落ちた。
こばまさ

こばまさ