よっちゃん

テオレマのよっちゃんのレビュー・感想・評価

テオレマ(1968年製作の映画)
4.8
階級、貧富、社会性、自他境界、性的嗜好、これらを隔てる「壁」は、双方向に開けた視界の役割を果たすと同時に、壁自体が外界に対する自己表現の機能を持ち得る(前者はガラス、後者は衣服によってそれぞれ象徴的に表される)。形式に囚われた空虚なブルジョワ一家の構成員は、「来訪者」による正面からの肉体的精神的"交わり"によって各々の「壁」を破壊されていく。拠り所にしていた「壁」を失い、自己の内部に理念や理想を持たない彼彼女らは、惑い、固まり、「退出」を余儀なくされる。
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